はじめに
――――TRPGとは。
いい歳した大人たちがオリキャラを作り、なりきり会話に興じるという、知らない人にはたぶんあんまり見せられない、エクストリームごっこ遊びである。
……などと言うとあらゆる方向から狼牙風風拳を叩き込まれかねないので真面目に説明します。
TRPGとは「進行役(GM)」と「プレイヤー(PL)」が決められたルールの中で協力し、ひとつの物語を作り上げるという遊びだ。
GMが物語の舞台となる場面を作り上げ、PLたちは自分の作り上げたキャラクターのセリフや行動を演じていく。これらはTRPGのルールによって多少の違いはあれど、全て会話によって行われていく。イラストレーターや3Dモデラーが作り上げた美麗な風景は用意されていないし、コンピュータが親切丁寧にチュートリアルをしてくれるわけでもない。
しかし、だからこそ物語は決してひとつとして同じものにはなることはない。一期一会の体験を楽しむことができるのがTRPGというものだ。
――――ネバークラウドTRPGとは。
…………まぁ、とりあえずこれを見てね。
つまり、ARが現代のスマホ並みに日常化した時代に、子供たちの悩みに付け込む悪いAI〈ピーター〉が現れて大変なことになっている。
しかしそのピーターAIは悩みをもった子どもたちにしか見つけることができなかった。大人たちはそんな子どもたちにピーターAIを倒すための力を与え、〈ウェンディ〉と名付けた。
〈ウェンディ〉と〈ピーター〉の戦いを描くゲーム、それがネバークラウドTRPGだ。
これは、とある〈ウェンディ〉たちの戦いを描いた、
実際に行われたTRPGセッションの記録である――――
リプレイ
ダリングス
この記録(リプレイ)は、原作者もたちがゴロ寝していたときに不意に思いついた、
「参加者がそれぞれキャラを持ち寄って、自分のキャラがピーターAIの標的になるような物語(シナリオ)を作り、代わりばんこにGMをやってみたらめっちゃ楽しそうじゃね!?」
という発想から始まった物語の第1話です。
参加者として原作者がTRPGに初めて触れた頃から共にTRPGを遊んでいる友人たちを招待し、企画の言い出しっぺであるもたち氏がGMをつとめ、ネバークラウドTRPGを遊んでもらい、みんながやりたいと思ったらこの話を第1話ということにして続きをやろう。という盟約を交わした上でこの企画がスタートしました。
今回は最初のお話になるため、ネバークラウドTRPGの楽しさを読者のみなさんに伝えるため、世界観設定や参加者のやりとり(PL発言)をわざと多めに載せたうえ、シナリオの内容についてもほとんどカットせずに書き起こしています。第2話からは参加者のキャラクターたちの活躍や物語を重視したものに変わっていく予定なので、はじめのうちは困惑することもあるかもしれませんが、よろしければ最後まで読んでくださると嬉しいです。
まあつまり、わからないところは深く考えず実況プレイ動画で見てるくらいのつもりでどうぞ。
今回予告
私立願ヶ丘学園。
その中等部で今、奇妙なことが起きている。
校舎内のCRがおとぎの国のように描き換えられ、おかしな生き物たちが闊歩しているのだ。
その異変とともに奇妙な噂まで流れ始め、中等部は混乱している。